恋する白虎
永舜の顔に、野性的な色が浮かんだからだ。

唇のキスが首から鎖骨にうつり、鎖骨から更に下に下がり、杏樹は思わずビクッとした。

「永舜、待って」

「待たない」

俺を好きなら、なんで抱かれないんだ。

永舜は不思議だった。

西天で永舜は、いつも女に囲まれていた。

見目麗しく、逞しい永舜は、女たちの憧れで、誘う女も多かった。

なのに杏樹は、まるで違う。

俺を好きといいながら、抱かれたくないと言う。

他の男にニコニコして、愛を告げられたり、飯を食わせたり、縫い物を頼まれたり……。

< 136 / 270 >

この作品をシェア

pagetop