恋する白虎
他人に、正面切って嫌いと告げられた事など一度もなかったのだ。

「綺麗で、純粋ってだけで、私はもう、太刀打ちできないもの。あんたを見てるとイライラするの」

杏樹は、どうしていいか分からずに、ただ美雨を見つめた。

「分かってるのよ。私の完全なヤキモチだって。妬みだって。
だから私、あなたを妬まなくてもいい自分を作るわ」

美雨はそう言うと、しばらく杏樹を見つめていたが、やがて、

「さよなら」

そう言うと、まだホームルームも始まっていない教室を去った。

美雨…。

杏樹の胸は苦しかった。

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