恋する白虎
激しい唸り声と衝撃で、杏樹は弾き飛ばされ、地面に叩き付けられた。

必死で頭を起こすと、白銀の虎が見えた。

「永舜……?」

すぐさま窮奇が有翼の虎へと姿を変え、永舜へと飛びかかり、二頭の虎は空中で激しく絡み合った。

「窮奇!!どういうつもりだ!?これは、俺の女だっ!」

永舜が、ガッと大きく口を開け、窮奇の翼に噛みついた。

窮奇は、激しい痛みに仰け反ったが、歯を食いしばって耐えた。

「杏樹は渡さねぇ!!」

俺が、初めて本気になった女だ。

嫌われ者の俺を、初めて真っ直ぐに見てくれた女だ。

< 151 / 270 >

この作品をシェア

pagetop