恋する白虎
「ならば、殺す!」

永舜は、鼻の上に皺を寄せ、大きな牙を剥き出しにして窮奇に襲いかかり、それを突き立てて、振り回した。

初めから、判りきった勝負である。

窮奇が、白虎に勝てるわけがないのだ。

永舜は窮奇の骨を砕き、その肉を咬みきった。

窮奇の、悲痛な悲鳴が響き渡る。

「永舜、やめてーっ!!」

杏樹は、声の限り叫んだ。

「お願いだから、窮奇を殺さないで!」

頭を打ち付けた衝撃でフラフラしたが、杏樹は渾身の力を込めて立ち上がった。

「やめて、永舜!」

永舜は止めなかった。

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