恋する白虎
せいぜい7日、元気でいられる程度である。

俺と杏樹は、一緒にいられねぇのか!!

窮奇は思わずよろけて膝をついた。

俺は、知らなかった。

生きている人間が、地底の煉獄で生きていけないことを。

窮奇は苦しかった。

部屋へ戻り、窮奇は横たわる杏樹を見つめた。

その顔はもう土気色で、呼吸も弱く、今にも魂の炎が消えそうである。

窮奇は、杏樹が眠る寝台に滑り込んだ。

「なあ、杏樹」

窮奇は赤い瞳に優しい光を浮かべ、白い歯を見せた。
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