恋する白虎
永舜は、空を翔けまわった。

杏樹、杏樹、杏樹!!

なんで俺はあの時、杏樹を一人にしたんだ。

なんですぐに、杏樹を捜さなかったんだ!

探していれば、窮奇との接触を阻止出来たかも知れないのに。

俺は……バカだ!

妙な意地を張り、杏樹から眼を背けたんだ。

四獣である白虎は、地底の煉獄には入れないし、独自でその門を探すことも出来ない。

門が近くにあったとしても、見えないのだ。

けれど、探さずにはいられない。

どこだ、杏樹。

杏樹に逢いたい。

愛しているんだ。

永舜は叫んだ。

「杏樹ーっ!!」
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