恋する白虎
ん……?永舜……?

杏樹は、自分を呼ぶ声で目覚めた。

ゆっくりと眼を開けると、すぐ前に心配そうに眉を寄せる永舜の顔があった。

ああ、永舜だ。

キラキラした白銀の髪に、同色の男らしい眉。

涼しげで、綺麗な眼。

通った鼻筋に、綺麗な口元。

杏樹は、フワリと微笑んだ。

「杏樹!」

永舜は、花のように笑った杏樹を見て、両手で彼女の頬を挟み、瞳を覗き込んだ。

ああ、よかった!

永舜は大きく息をつき、眼を閉じた。

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