恋する白虎
「永舜」

囁くように杏樹が永舜を呼んだ。

「なんだ?」

優しく返事をし、永舜は微笑んだ。

「永舜に、会いたかった」

永舜はギュッと眉を寄せた。

「杏樹、すまない。俺のせいで。俺と会わなければこんな事にならなかった」

杏樹は、僅かに首を振った。

「永舜のせいじゃない。
私、分かったの。永舜の言う通り、私達が出会ったのは、運命だと思うわ。
それと、今から私が言う事も、本心よ」

杏樹?

永舜は僅かに眼を細めて、杏樹の囁くような声に耳を傾けた。

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