恋する白虎
「永舜、私を西天へ連れていって」

永舜は、眼を見開いた。

「杏……」

「私、やっとわかったの。誰が一番大切かって。
私、永舜と離れたくない。永舜のいるところが、私のいるところだって。ずっと、一緒にいたい。
私を、西天へ連れていって」

「杏樹、杏樹、杏樹!」

堰を切ったように何度も名前を呼び、永舜は杏樹にくちづけた。

「ああ、行こう」

杏樹の潤んだ瞳が真っ直ぐに永舜を見つめ、永舜はギュッと胸が軋んだ。

杏樹……。

意識は戻ったものの、顔色が悪い。

悪すぎる。

これは、もしかして……。

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