恋する白虎
どこだ……どこだ!

永舜は眉を寄せ、歯を食いしばって意識を集中させた。

しばらくすると脳裏に門が見えてきた。

……よし!

永舜は優しく杏樹をくわえると、勢いをつけて地を蹴り駆け上がった。

早くしなければ、助からない。

早く西天へかえり、蘭寿草を煎じて飲ませなければ、手遅れになる。

永舜は、思いきり走った。

杏樹の為なら、脚の筋が切れようと、二度と走れなくなろうが構わないと思った。




< 175 / 270 >

この作品をシェア

pagetop