恋する白虎
西天へ着くと、永舜は一直線に大聖白虎の元へと走った。

「永舜様!!」

「永舜様……!」

久しぶりに見る者達が声をかけたが、永舜は眼だけで挨拶し、杏樹を抱えたままで人の形に変わった。

神殿の前で杏樹を降ろし横たえると、胸の前で左の拳に右の掌をあてがい、頭を垂れて声を張り上げた。

「大聖白虎永神様!」

大聖白虎永神(だいせいびゃっこえいじん)とは、西天を治める白虎の、いわば最高責任者であると同時に、永舜の父でもある。

「永舜か」

「大聖白虎様!」

大聖白虎永神は、目元に優しい微笑みを浮かべ永舜を見た。

< 176 / 270 >

この作品をシェア

pagetop