恋する白虎
「久し振りだなぁ、永舜」

「兄上」

永蒼は、精悍な頬を傾けて、杏樹の傍に膝をつくと、彼女の心音を確かめた。

「ヤバイな」

「父上、蘭寿草を探してきます」

永舜は、額の汗を拭いもせずに身を翻すと、駆け出そうとした。

「待てよ、永舜」

「なんだ、兄上」

「お前、百年も留守にしてて、蘭寿草を探せるのか?
滅多に咲かない上に、二度と同じ場所には咲かない貴重な花だぜ」

永舜は拳を握りしめた。

そうだ、そうなのだ。

蘭寿草は、西天にしか存在せず、同じ場所には、二度と咲かない。

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