恋する白虎
永蒼(えいそう)は、屋敷へ帰り、杏樹を寝台に横たえた永舜(えいしゅん)を盗み見した。

こいつの、最後の試練がこの女か。

ふーん。

永舜と永蒼は、共に育った兄弟であるが、性格はまるで違っていた。

兄の永蒼から言わせれば、永舜は面白味のない地味な性格である。

なのに、永舜は昔から女にモテた。

ま、俺ほどじゃないけどな。

顔は……良く似てるが、絶対俺のがいい男だ。

「蘭寿草を探してくる」

言うなり部屋を出ようとする永舜を、永蒼は落ち着いた口調で止めた。

「まあ、待て、永舜」

こちらを向いた永舜を見て、永蒼は眼を細めてニヤリと笑った。

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