恋する白虎
「蘭寿草は、今、俺が持ってる」

な、に?

永舜は眼を見開いて永蒼を見上げ、口を開きかけた。

「この女に、飲ませてやってもいいが」

片腕を懐に入れて、永蒼は斜めに永舜を見た。

「ひとつ、条件がある」

永舜は唇を引き結んで僅かに眼を細めた。

永蒼は、昔からそうである。

西天を治める事に興味はなく、今日が楽しければそれで良しと考え、何に縛られることなく自由を愛し、欲求を満たす為なら相手の弱味に付け込むし、無理難題を押し付ける事もしばしばである。

永舜に良く似た端正な顔立ちに加え、本人独特の華やかな雰囲気を持ち合わせ、昔から良くも悪くも目立っていた。

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