恋する白虎
杏樹は、寝台に座ったまま、考えた。

一体、私に何があったの?

どうしてエイシュンさんは、あんな冷たい眼差しを向けるんだろう。

昨日、また明日話そうと言ったのに、ムッとして出ていってしまった。

杏樹はどうしていいか分からず、膝を抱えて俯いた。


その頃。

「永蒼さま」

背後から声をかけられたと同時に、首にしなやかな腕を絡められて、永蒼は眼を閉じてフッと笑った。

「おい、やめろ」

「だって……先程の女は誰ですの?
今宵は私と過ごすお約束でしょう?
やっと私の番が回ってきたのに」

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