恋する白虎
確か、リンは永蒼に惚れていたような。

永蒼に惚れている女は多いから、まず間違いないだろう。

リンは苛立たしげに声を荒げた。

「何にもされないから、困っているのですっ!」

永舜は僅かに眉を上げてリンを見つめた。

「あ……」

つい口を突いで出た言葉に思わず焦りながら、リンは永舜の着物を掴んで人気のない岩場へと引っ張っていき、ペタンとそこへ座ると、永舜を見上げた。

「お話があります」

リンの気迫におされ、永舜は思わず隣に腰を下ろした。

「リン、どうした」

「しっかりしてくださいませ、永舜さま!
あの人間の女の人は、永舜さまの奥方になられるお方なのでしょう?なのに、どうして……」

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