恋する白虎
「押しが甘い」

なんだと?

リンは溜め息をつきながら永舜を見た。

「頼りないし」

永舜は、張り付いたようにリンを見つめた。

リンは、お構いなしに続けた。

「そんなに端正な美貌をしていらっしゃる割に、奥手というか、ボーッとしているというか……まさか、結ばれてないとか?」

永舜は、グッと詰まった。

まさか、迫ったが断られたとは言いにくい。

言いにくいが、嘘をついても絶対にバレそうだ。

「確か、百年前はいつも女を引き連れてましたよね?永蒼さま同様に」

リンの印象からして、永舜は決して女に疎い方ではなかった。

「人聞きの悪い言い方をするな」
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