恋する白虎
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杏樹は静かに眼を開けた。

開けた途端に、自分が虎の姿のままの永舜にしがみついているのに気付き、ビクッとした。

…夢じゃなかったのね。

杏樹は、眼を閉じている虎の顔を穴の空くほどみつめた。

銀色の被毛は、意外にもフワフワで柔らかく温かい。

ダブルサイズのベッドに収まりきれず、身を縮めるようにして臥せている白虎。

…杏樹は思った。

こんな事って、ある?

好きになった男が、実は人ではなくて虎でした。

しかもただの虎じゃなくて、西の方向の天を守っている普通は人間に見えない虎でした。

…。
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