恋する白虎
永舜は一旦そこで言葉を切り、フウッと微笑んだ。

「幼子のように拗ねて悪かった」

「エイシュンさん…」

「俺は…お前の事になると冷静でいられなくなる」

杏樹は、涼やかな瞳をわずかに細め、切なそうに笑う永舜を見つめた。

「お前は…忘れてしまったけれど…俺はお前を愛してるんだ。それはこれからも変えられない」

杏樹は、永舜が向ける自分への愛情を感じて、俯いた。

その想いを受け止めることができない罪悪感に、胸が痛んで仕方なかった。
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