恋する白虎
驚いたリンが悲鳴を上げた。

「なんだよ、人の顔見て叫んでんじゃねーよ」

永蒼は、キョトンとした顔でリンを見つめた。

あー、焦った。話を聞かれたかと思った…。

リンは慌てて笑顔を作ると、永蒼に話しかけた。

「と、ところで、どうしたんですか、永蒼さま!このところ、姿を見ませんでしたけど」

永蒼は、ニヤリと笑うと入口にもたれ掛かり、斜めに二人を見つめた。

「イイ男に会えなくて寂しかったか」

「はいっ」

リンが頬を染めながら素直に返事をし、杏樹は思わず吹き出した。

なんて可愛いの、リンさんって!

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