恋する白虎
人間じゃなくて虎なら、ネズミをひっ捕まえて丸飲みにしちゃっても不思議じゃないわよね。

…せっかく好きになったのに人間じゃなかったなんて、もうダメージ大きすぎ。

杏樹は間近で眼を閉じている白い虎を見て、溜め息をついた。

…人間の姿の時は凄く素敵なのになあ…。

「ちょっと、白虎永舜っ」

永舜は静かに眼を開けた。

「ん」

「取り敢えず、話しにくいから人の姿に戻ってくれない?」

「分かった」

永舜は静かに人間の姿に戻った。

…イリュージョンか!

杏樹はブルブルと頭を振ってから、溜め息をついて真横にいる永舜を見つめた。
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