恋する白虎

鴆の襲来

鴆の飛来は、その習性により、正確に時期が決まっている。

その日が近づくにつれ、西天は慌ただしくなっていった。

西天には白虎と、選ばれた人間が住んでいる。

選ばれた人間とは、白虎と縁あって西天に来た者たちである。

土を耕して作物を作り、湖で魚を捕ったりと、西天の暮らしは、人間界の暮らしとさほどの違いはない。

鴆が襲来し、一度西天に羽ばたくと、瞬く間にその暮らしが壊される。

白虎はどうしてもそれを阻止しなければならない。

それが西天を治める白虎の使命なのだ。

大聖白虎永神(だいせいびゃっこえいじん)は、皆を集め、士気を高めるべく言い放った。

「あと三日の後、鴆の群れが西天に飛来する。
一羽たりとも毒鳥を通すな!
なんとしてでも襲来を阻止し、西天を守るのだ」





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