恋する白虎
「……!」

え……!?

どうなって……?

痛くも、痒くも、ない……。

なんで……?

杏樹は、恐る恐る眼を開けた。

「……あなたは……!」

目の前に、確かに見知った白虎がいた。

大きく、輝くような白銀の白虎は、口にしっかりと鴆をくわえ、一瞬だけ鼻の上に皺を寄せるとグッと力を込め、それを咬み殺した。

杏樹と白虎は、互いに見つめ合った。

「あ……!」

ドキンと心臓が跳ねて頭に激痛が走り、杏樹は息を飲んだ。

その瞬間、白銀の白虎が苦しそうに呻き、ゆっくりと地に倒れた。

「きゃあああっ!」

「鴆を制圧したぞ!怪我人を運べー!」

杏樹は、薄れゆく意識を感じながら、必死に白銀の白虎の元へ近づいた。

「嫌よ、死なないで……」




















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