恋する白虎
「杏樹、杏樹」

頬をパチパチと叩かれる感覚に眉を寄せながら、杏樹はゆっくりと眼を開けた。

「ん……」

「おい、杏樹、俺が分かるか?」

眼の前に永蒼の整った顔が広がり、杏樹はゆっくりと頷いた。

そう……だ……。

リンさんは!?それに……!

「エイソウさん!リンさんは……?!それに」

永蒼は、いつもの強気な眼差しを押し隠し、僅かに眉を寄せるとホッと息をついた。

「アイツは……リンは…まだ眠ってる。永舜もだ」

声が震えた。

「無事ですか?ふたりとも」

< 235 / 270 >

この作品をシェア

pagetop