恋する白虎
服装も、日本の着物というよりは昔の中国の服のような……とにかく時代がかった服だし…。

重ね合わせた着物の前が少しはだけて、逞しい胸がチラリと見えている。

「永舜でいい」

「じゃあ私のことは杏樹と呼んで」

そう言って杏樹はフワリと笑った。

な、なんだ、この笑顔は。

何もかもを惹き付けるような杏樹の笑顔に、永舜の胸は高鳴った。

二人の出会いは、甘い風のようだった。

***

…そして、現在。

思いきって永舜に告白した杏樹は、身を固くしたまま俯いた。

断られるかな。
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