恋する白虎
「なに、どーした??」

慶吾は、杏樹を離さずに言った。

「杏樹を、俺の嫁さんにしてー」

…え…?

胸がドキンとして、思わず洗いかけの皿が手から滑り落ち、ゆっくりと水の中に沈んだ。

よ、嫁さん…?

あまりにもびっくりして、杏樹はなにも言えなかった。

背の高い慶吾は、屈むように身を低くして杏樹の髪に唇で触れ、続けた。

「付き合うとか飛び越えて、杏樹を奥さんにしたい。もうガキのころからお前の事はずっと見てきたから」

「大好きなんだ、お前が」

「…」

「なあ、杏樹」

慶吾はちょと照れたように笑ったが、低く囁くように言った。

「杏樹に、キスしてもいい?」

ビックリしすぎて何も言えなかった。
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