恋する白虎
そんな杏樹をみて、慶吾はちょっと悔しそうに笑った。

「なんだよ、やっぱ俺の事、なんも思ってねーのかよ」

だ、だって、慶吾は…。

「えっとね、あの」

その時、インターホンが鳴った。

慶吾が腕を解き、杏樹はホッとしながら、

「誰だろ」

モニターを見ると、誰の姿もなかった。

「あれ?」

「なに」

道路の向こうに運送会社のトラックが見える。

「宅配の、間違いかな」
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