恋する白虎
窮奇は両腕を挙げて、焦ったように笑った。

「俺はただの通りすがりだ、ほんとだせ」

永舜はムッとして口を開いた。

「なら、さっさと通りすぎろ」

「怖いねぇー」

永舜は立ち上がると胸の前で拳を作り、片方の手でそれを包み込むようにし、瞬く間に白虎の姿へと変わった。

窮奇の鼻先ギリギリで口を開け、一声威嚇すると地を蹴り、空に舞い上がる。

「くっ!」

窮奇は、天に駆け昇った永舜を見て舌打ちをした。

気に入らねえ、白虎め。

どうにかして白虎をギャフンと言わせてやりたいぜ。
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