恋する白虎
「どうした?」

やだやだ今、ネズミを食べたわよね!?

マジで?!気のせい?!

こんな気のせい、あるわけないっ!

芸能人以上にカッコいいのに、生きてるネズミに飛び付いて食べちゃったっ!

杏樹は怯えて言った。

「わ……悪いけど、今、私が好きって言ったのは忘れて!!
無かった事にして!
もう逢うことはないわ、さよなら!」

杏樹は永舜に背を向けると、一目散に走って逃げた。

無理!

告白した直後だけど、無理!

ネズミを丸飲みにして食べちゃうような人とは付き合えない!

カッコよくても、無理!

あー、キスとかしなくてよかった!

杏樹は恐ろしさと気持ち悪さのあまり、立ち止まらずに家まで走った。

会いたくない、もう絶対会いたくない!
< 8 / 270 >

この作品をシェア

pagetop