恋する白虎
…美雨は、永舜を気に入ったんだろうか。

それとも白虎だから、ただ単に興味があるだけ?

二階の部屋からは、時折美雨の笑い声が聞こえたが、永舜の声は聞こえなかった。

「はあーー」

杏樹は溜め息をついた。

溜め息と一緒に、モヤモヤした気持ちを吐き出せたらいいのに。

「お茶だよー」

杏樹はお盆を持ったまま、永舜の部屋の前で声をかけた。

「あいよ」

美雨がおどけた感じで返事をし、部屋を開けた。

永舜はベッドの上にあぐらをかいていて、入ってきた杏樹を真っ直ぐ見た。
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