恋する白虎
杏樹もそっと永舜を見つめた。

けれどそれはほんの一瞬で、美雨が二人の視線の間に割って入りお盆を受け取ると、机の上に置いた。

「永舜」

杏樹が永舜のカップを取ろうとした瞬間、

「永舜は、ミルク入れる?お砂糖は?」

美雨が一足早く永舜の為にカップを取ると、微笑みながら尋ねた。

その笑顔は甘く、杏樹はドキッとした。

美雨……。

永舜って、呼んだ…。

「はい、永舜」

美雨はカップをベッドの上の永舜に手渡すと、当たり前のように永舜の隣に座った。

その反動でベッドが揺れて、永舜の肩に美雨の腕が当たる。
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