恋する白虎
「凄く、綺麗」

永舜は、呟いた杏樹の横顔を見た。

真っ直ぐに天を仰ぐ杏樹の瞳が、雨よりも綺麗だったからだ。

「杏……」

「永舜」

美雨が永舜の名を呼んだ。

「私の名前、美しい雨とかいて、美雨なのよ。永舜には覚えていて欲しいな」

そう言って、甘く微笑んだ。

美、雨……。

キラキラと輝きながら降り注ぐ雨は、美しすぎた。
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