恋する白虎
言うな否や拳と拳をぶつけ、窮奇は有翼の虎へと姿を変えた。

「きゃあ!」

杏樹は驚いた。

それから、ふわりと笑った。

「素敵な翼ね」

俺の、翼が?

みんなに嫌われている、この俺が?

窮奇は、胸が軋むような感覚に驚きながらもちょっと笑った。

「褒めてくれた礼だ。
乗れよ」

杏樹は躊躇した。

「で、でも」

「乗れって」
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