恋する白虎
窮奇は杏樹を乗せると、勢いよく地を蹴り、舞い上がった。

「しっかり、掴まってろよっ!」

窮奇はグイグイと天を駆けた。

「どうだ!?」

窮奇は少し振り返りぎみで、杏樹に尋ねた。

自分にしがみついている杏樹の温もりを感じて、胸が高鳴る。

「綺麗…こんなの夢みたい」

杏樹の瞳に夕陽が反射して輝いた。

可愛い唇がわずかに開き、白い歯が見える。

俺が今、この女を笑顔にしてるんだ。

本当に、可愛い女だな。

窮奇も楽しかった。
< 97 / 270 >

この作品をシェア

pagetop