恋する白虎
空をグルリと大きくかけて、やがて窮奇は地に降りた。

杏樹がそっと窮奇から降りると、彼は素早く人の形に戻った。

「あーっ、なんか元気が出てきた」

杏樹は真っ直ぐ窮奇を見つめて、にっこりと笑った。

「ありがとう。夕焼けの空を翔べるなんて、凄く嬉しかった」

窮奇は、夕陽よりも眩しい杏樹の笑顔に動揺しながらぎこちなく笑った。

「そっか。喜んでもらえてよかったぜ」

「じゃあ…私、帰るね」

窮奇はちょっと手を上げて、その言葉に答えた。

「あー……」

窮奇は天を仰いで舌打ちした。
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