初恋
そのとき、わたしも直ちゃんもずいぶん年をとっているだろうけど、
今のところ、年をとった直ちゃんも好きでいる自信がある。

ただ、年をとった自分がきれいになれる自信がないのが悲しいところであった。

ああ、つらいなあ。

高くなった空を見上げて、ため息をつく今日この頃だ。

ため息の理由はもうひとつあった。

直ちゃんからメールが来なくなったのだ。

以前だと、遅くなっても翌日には返事が届いていたのだが、
それがなくなって一週間が過ぎた。

部屋に行くのもはばかられて、仕方がないのでりゅうさんが作ってくれたジャガイモとハムの入ったオムレツを作ってみたけどいまいちおいしくなかった。

そのりゅうさんも、やっぱり連絡がとれない。

直ちゃんよりよっぽどまめに返事をくれる人なのに、何があったんだろう。

以前のわたしだったら、きっと大騒ぎしていたと思うけど、
自分にはそんな権利、ないような気がしている。

どうしたんだろう。

理由もわからずに、一人でぐるぐる考えるだけの日がしばらく続いた。



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