初恋
あれから、直ちゃんはいつもどおりの生活を、いつもどおりに送っているそうだ。

仕事が忙しくて、感傷に浸るひまもないと笑っていた。
まあ、助かるけどな。

それでも、少しやせたように見えるのは、仕事のせいなのか失恋のせいなのか、
わたしにはわからなかった。

りゅうさんは、前よりは直ちゃんの部屋にいることは少なくなったそうだが、
それでも週に3日は泊まって行くのだと言う。

「お前、もう来んでええで。」なんて言いながら、
合鍵を取り上げたり、持ち込まれたノートパソコンに怒ったりはしない直ちゃんだった。
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