初恋
クリスマスイブの日、もう講義もなくなっていたんだけど、
樹里ちゃんからはハートがたくさんのメールが来ていた。
わたしは朝からパン屋さんでアルバイトだ。
なんて違いだろう。
まあ、万が一、直ちゃんと付き合うことになったとしても、
クリスマスを一緒に過ごすなんて無理だってことはよくわかったけど。
パン屋のケーキとケーキ屋のパンはおいしくない、と直ちゃんは言うけど、
その日はパン職人さんたちの作ったブッシュドノエルがよく売れていった。
休憩のときに店長が、
「こんな日にありがとうね。」と言って、その日バイトに入っていた女の子たちにケーキを出してくれた。
店長に同情されても悲しいだけですね、と高校生のアルバイトの子が言うので、ほんまに、と二人してもそもそとそのケーキを食べる。
翌日は、留美ちゃんに三宮に誘ってもらっていた。
三宮では、毎年ルミナリエといって街中に電球のオブジェが飾られる。
それを見に行こうというのだ。
オレンジ色や赤色の電球で、たくさんのアーチが数キロに渡って作られている。
震災を忘れないために、と始められたイベントで、
毎年たくさんの人がその光の芸術を楽しんでいた。
電話をもらって、「いいけど、二人で行くのもむなしいなあ。」と何気なしに言うと、
「ヨッシーも来るけど。」と言う。
わたしがちょっとあわてて、「そんなら二人で行ってくれば?」と、言ってみると、
「はあ?なんで?」と返ってきた。
そして、直ちゃんが仕事帰りに一日遅れでだけどケーキを買ってきてくれるので、そのまま忘年会とクリスマスパーティを一緒にすることになっていることを教えてくれた。
「邪魔やったらそっちだけでええよ。」とわたしがしつこく言ってみると、
「邪魔なんはあいつやろ。」と、留美ちゃんの真意がよくわからない。
結局、わたしはルミナリエにもついていって、
幻想的に変身した神戸をきゃあきゃあ騒ぎながら歩いた。
人ごみの中、留美ちゃんが転びそうになったのをりゅうさんが支えて、少しだけ二人が手をつなぐのを横目で見たけど、
知らないふりをすることにした。
それから、いつもと同じように4人でご飯を食べて。
それが、その年に4人で顔をあわせた最後になった。
樹里ちゃんからはハートがたくさんのメールが来ていた。
わたしは朝からパン屋さんでアルバイトだ。
なんて違いだろう。
まあ、万が一、直ちゃんと付き合うことになったとしても、
クリスマスを一緒に過ごすなんて無理だってことはよくわかったけど。
パン屋のケーキとケーキ屋のパンはおいしくない、と直ちゃんは言うけど、
その日はパン職人さんたちの作ったブッシュドノエルがよく売れていった。
休憩のときに店長が、
「こんな日にありがとうね。」と言って、その日バイトに入っていた女の子たちにケーキを出してくれた。
店長に同情されても悲しいだけですね、と高校生のアルバイトの子が言うので、ほんまに、と二人してもそもそとそのケーキを食べる。
翌日は、留美ちゃんに三宮に誘ってもらっていた。
三宮では、毎年ルミナリエといって街中に電球のオブジェが飾られる。
それを見に行こうというのだ。
オレンジ色や赤色の電球で、たくさんのアーチが数キロに渡って作られている。
震災を忘れないために、と始められたイベントで、
毎年たくさんの人がその光の芸術を楽しんでいた。
電話をもらって、「いいけど、二人で行くのもむなしいなあ。」と何気なしに言うと、
「ヨッシーも来るけど。」と言う。
わたしがちょっとあわてて、「そんなら二人で行ってくれば?」と、言ってみると、
「はあ?なんで?」と返ってきた。
そして、直ちゃんが仕事帰りに一日遅れでだけどケーキを買ってきてくれるので、そのまま忘年会とクリスマスパーティを一緒にすることになっていることを教えてくれた。
「邪魔やったらそっちだけでええよ。」とわたしがしつこく言ってみると、
「邪魔なんはあいつやろ。」と、留美ちゃんの真意がよくわからない。
結局、わたしはルミナリエにもついていって、
幻想的に変身した神戸をきゃあきゃあ騒ぎながら歩いた。
人ごみの中、留美ちゃんが転びそうになったのをりゅうさんが支えて、少しだけ二人が手をつなぐのを横目で見たけど、
知らないふりをすることにした。
それから、いつもと同じように4人でご飯を食べて。
それが、その年に4人で顔をあわせた最後になった。