初恋
大阪駅からいくつか電車に乗り継ぎ、田舎の町へ帰る。

留美ちゃんはもう少し大阪よりの町に家があるので、途中で電車を降りた。

それにしても、この電車はどうだ。
座席も小さく、冷房もないから天井で扇風機が回っている。
朝から乗ってきた快速電車とはえらいちがいだ。

最寄の、駅員さんのいない駅に着くと、父が迎えに来ていた。

「ああ、おかえり。」と、父はうれしそうだ。

「ただいま。」と言って、車の後部座席に乗る。

ちゃんと食べてるか?学校どうや?

うん。小学校のときの友達がな、クラスにおるねん。

そんなことを話していると、あっという間に家についた。

家に入るとき、紙袋を母に渡しながら、
「これ、直ちゃんから」というと、靴を脱ぎかけていた父がびくっとして一瞬動作を止めたのがおかしかった。







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