初恋
ビールを何杯か飲んで、父が唐突に、

「ほんで、直ちゃんは元気か?」と聞いてきた。

「元気やで。」

そうとしか答えようがない。

母がにやにや笑っている。

連休にのこのこ帰ってきた娘の状況が、母にはわかるのかもしれなかった。

その夜、兄がわたしの部屋にやってきた。

「三浦、元気でやってるか。」

父と同じことを言って、それから、

「何かひどいことされたらおれに言えよ。
まあ、あいつがそんなことできるとは思わんけど。」と、

まじめに言うから笑ってしまった。

兄も成長したなあ、なんて、生意気なことを考えながら眠りについた。

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