初恋
真実
その話を、聞かなければよかったとそのときは何度も考えたが、
やっぱり今になって、聞いておいてよかったと思う。
そうしなければ、わたしたちはまだ、手探りでおかしな幼馴染ごっこを続けなければいけなかっただろうから。
ことの起こりはこうだ。
樹里ちゃんが、ゴールデンウィークに地元の友達と会い、
わたしの話をしたらしいのだ。
いやあ、懐かしいなあと話が盛り上がって、
小さな同窓会をすることでまとまった。
「まあ、同窓会って言っても、5人くらいやけど。」
土日は空いてる?と聞かれて、夕方までバイトが入っていることを伝えた。
ええで、どうせ集まるの夜やし。
そうして、5月の終わりの土曜日、三宮のお好み焼き屋さんで、
わたしは懐かしい顔に再会することになった。
池田さん、川本さん、早坂さん、上野さん。
小さい頃の記憶は少しあいまいだけど、お互いに自己紹介して、その当時のあだ名なんかを話すと、たちまち打ち解けることができた。
上野さんのこと、わたしはずっとみどりちゃんだと記憶していたのだが、
図工の時間に、派手に緑色の絵の具を服にぶちまけたのがきっかけでついたあだ名であったことを思い出した。
「あの頃、上野みどり様って年賀状出してくる子おってんで。」
と、うんざりしたように言うからみんな笑ってしまう。
上野さんの本当の名前は明日香だ。
でも、やっぱりみどりちゃんって呼んでしまう。
お互いの近況を報告しあって、彼氏がいるかいないかなんてことを
にぎやかにしゃべりあった。
お好み焼き屋さんと樹里ちゃんは言ったが、
鉄板焼きのメニューが豊富なお店で、ついでにお酒も出してくれる。
早坂さんと川本さんはウーロン茶を飲んでいたが、
調子の乗ったわたしたちはカクテルなんかを注文しちゃって、
とても楽しい雰囲気になった。
「でもさあ、なんで美代ちゃんわざわざこっちに戻ってきたん?」
「うん。それ聞こうと思ってた。ってか、ぜったい何かあるよね。」
そうだよな。
短大で、しかもそれほど偏差値の高い大学でもなかったから、
一人暮らししてまで通う価値があるのかい、と普通の頭だったら思うだろう。
やっぱり今になって、聞いておいてよかったと思う。
そうしなければ、わたしたちはまだ、手探りでおかしな幼馴染ごっこを続けなければいけなかっただろうから。
ことの起こりはこうだ。
樹里ちゃんが、ゴールデンウィークに地元の友達と会い、
わたしの話をしたらしいのだ。
いやあ、懐かしいなあと話が盛り上がって、
小さな同窓会をすることでまとまった。
「まあ、同窓会って言っても、5人くらいやけど。」
土日は空いてる?と聞かれて、夕方までバイトが入っていることを伝えた。
ええで、どうせ集まるの夜やし。
そうして、5月の終わりの土曜日、三宮のお好み焼き屋さんで、
わたしは懐かしい顔に再会することになった。
池田さん、川本さん、早坂さん、上野さん。
小さい頃の記憶は少しあいまいだけど、お互いに自己紹介して、その当時のあだ名なんかを話すと、たちまち打ち解けることができた。
上野さんのこと、わたしはずっとみどりちゃんだと記憶していたのだが、
図工の時間に、派手に緑色の絵の具を服にぶちまけたのがきっかけでついたあだ名であったことを思い出した。
「あの頃、上野みどり様って年賀状出してくる子おってんで。」
と、うんざりしたように言うからみんな笑ってしまう。
上野さんの本当の名前は明日香だ。
でも、やっぱりみどりちゃんって呼んでしまう。
お互いの近況を報告しあって、彼氏がいるかいないかなんてことを
にぎやかにしゃべりあった。
お好み焼き屋さんと樹里ちゃんは言ったが、
鉄板焼きのメニューが豊富なお店で、ついでにお酒も出してくれる。
早坂さんと川本さんはウーロン茶を飲んでいたが、
調子の乗ったわたしたちはカクテルなんかを注文しちゃって、
とても楽しい雰囲気になった。
「でもさあ、なんで美代ちゃんわざわざこっちに戻ってきたん?」
「うん。それ聞こうと思ってた。ってか、ぜったい何かあるよね。」
そうだよな。
短大で、しかもそれほど偏差値の高い大学でもなかったから、
一人暮らししてまで通う価値があるのかい、と普通の頭だったら思うだろう。