すべてはあなたから教わりました。
「行こう。」

涼はさっきのことを何も言わずに、手を引っ張った。

「涼…」
聞きたいのに聞けない。
辛い顔を見るのが嫌だし、せっかくの楽しい日が台無しになってしまう。

ボーカル科の体験と説明会の時間がもうすぐ始まる。


席に着いた時、近くの席にさっきの彼女がいた。
私達に気付いた時、手を振ってきた。
涼はよそ見をしていて、私は小さく振り替えした。

「あんなやつに振り返さなくていいから。」

涼は私を見て、怒った口調でその手を握った。


先生らしき人が前に立ち、スクリーンに映る学校の設備とかを見ながら説明が始まった。

完璧なカリキュラムや音響、就職後などを分かりやすく説明してくれた。



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