ギャルがゲーマーやってちゃダメですか?

「失礼します。」

黒い服の男...ボーイが案内した席に座った客のすぐ隣に、私は営業スマイルを作りながら腰を下ろす。



「初めまして、すずです! 何呑みますかー?」

「あー、ビールで。」

「おっけーです!」



私は大きく手を上げながら、店内を監視しているボーイに向かって「ビールお願いしまーす!」と叫んだ。

「ビールですね、少々お待ちください。」

私の声に気付いたボーイは、そう言って厨房へと姿を消していった。



さて、私はこれから隣に座る客と話さなければならないわけだ。

スーツを着こなし、眼鏡を掛け、Yシャツのボタンを一つも外すことなくつけていて、いかにも真面目そうな雰囲気を漂わせている。
見た目は40代後半。
さっきのボーイとのやり取りを見るに、おしゃべりな性格ではなさそうだ。



この店は1タイム60分制。
指名なしだと女の子は20分交代になるから、私がこの客と話すのは20分間。

なげぇ。おとなしい客相手に20分は辛いぞ。
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