ハツコイ奪取
「馬山一夏。出席番号27番。俺の斜め前の席で、俺のアイドル」
新はまた付け加えかのように言った。
クラスのアイドルから俺のアイドルに変わってるけど。
……ふーん、匠海の幼馴染ねぇ…。
そんな話1回も聞いたことないけど。
「匠海をツテに仲良くなろっと」
「やめとけよ、面倒くさいって切られるだけだぞ」
「だって可愛いんだよ! クラスでいっつも一人だし、俺が友達第一号になって仲良くなって、そのあかつきには彼女にする、みたいな」
「その子のこと好きなのか?」
勝手に拳を握りしめてファイティングポーズ取ってる新にそう声をかける。
「え? 別に好きじゃなくても、これからなってけばいいじゃん?」
「……まぁがんばって」
「うん! 結人と一緒なら頑張れるわ、俺」
…………え。
そちらを見るとキラキラの目でこちらを見てくる新。
苦笑いしか出来ずにその場から立ち去ろうとする。
「結人のテル番知りたい人ーっ!」
その場で大きな声を張り上げる新。
その瞬間、周りの女がキャーキャー言って群がってきた。
………新、お前…。
案の定新は先手を打ってやったとでも言いたいのだろう、ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべている。