ハツコイ奪取
帰りも一緒。
匠海が言ったから。
『部活終わるまで待っとけよ』
何をするわけでもなく、教室でボーッとして匠海を待った。
そんなある日、私を揺るがすことが起きた。
『ごめん、こいつも一緒でいいか?』
そう言って匠海は女の子を連れてきた。
前に私に『付き合ってるの?』と聞いてきた可愛らしい女の子。
ああ…痛い…。痛い。
『こいつマネージャーなんだけど、手怪我したから荷物家まで持ってやるんだ。
ごめん、いいか?』
『うん…』
優しい匠海は頼まれたら断われないんだよね。
それからだった。
私と匠海の間に溝が出来たのは。