ハツコイ奪取
それから毎日毎日、彼女は私達と一緒に帰る。
サッカーの話で盛り上がる匠海と彼女。
私だってサッカーのこと調べたりしたし、話したくても、部活内のことまで分からない。
……やっぱり匠海は私とは世界の違う人。
匠海はいつだって人の輪の中心にいて、人気者で優しくて、かっこいい。
私は?
私はいつも匠海の足を引っ張る足枷で、単なる幼馴染。
『匠海、私のこと迎えに来なくていいよ…』
小声で言ったそれは彼の耳に届かない。
『何か言った? あ、そうだ知ってる?
次のワールドカップさー』
『匠海に迎えに来られなくても、私ちゃんと学校行ける!』
『………』
『もういいよ…。…匠海に甘えたくないよ』
この苦しみを感じることが面倒くさい…。
匠海の足枷だと影で笑われて、私を突き放せない匠海をバカにされたくない。