ハツコイ奪取




『俺、一夏にとって必要じゃねぇってこと?』


必要だよ。ずっと側にいたい…。

けど、けど…もう苦しいんだよ…。


あの女の子と匠海が笑ってるのを見たくない。

怪我っていつまでなの?

もう一ヶ月も経ってるんだよ?


突き放せないのは優しいからだけじゃない…。


好きだからじゃないの…?



だから、それに頷いた。

少しでも嫌な顔してくれるんじゃないかって、そんなバカげたこと思った私がバカなの。



『ふぅーん』


ショックを通り越して、冷静になった。



『……約束ね。匠海がいなくても、私は学校に行く、絶対に』


『わかった。成長したみたいで何より!
 まぁ、もう中3だもんなー』


『うん。…またね…』


『じゃあなー』




それから私達は疎遠になった。

学校でも何故か匠海は話してくれなくなった。


まさかそこまで距離置かれるとは思ってなかった私の心はまだ、中2で止まったまま。




匠海を好いたまま。





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