ハツコイ奪取
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高校2年生になって早1ヶ月。
ドキドキのクラス替え、なんてことはなく、別にホントにどうでもいい。
学校もまぁまぁの進学校に行けて、友達もそこそこにできた。
けど、クラス替えでまた新しい友達を作るのは本当に面倒くさい。
もう、あと二年だし、一人でいい。
「匠海ー!おはよー!」
その誰かの一言にドキッとする。
匠海も同じ学校で、そして同じクラス。
こんなことにドキドキさせられる自分が嫌だ。
2学期になったら文理の選択で取る教科も違うから、それまでの我慢。
「あ、一夏ちゃんおはよー」
匠海に挨拶していた男の子がこちらに笑いかけてくる。
匠海のグループにいるほわほわした感じの子で、広く浅くの白石新(しらいし あらた)。
「…おはよう」
「今日も可愛いね!」
「……ありがとう…」
「新、結人んとこ行こうぜ」
匠海は遠いところからそう白石くんを呼んだ。