ひとくせ、ふたくせ。

――






「・・・家着いたんで、もう大丈夫ですから」




「ねえ、一人って寂しくない?」



「あの、ドア開けさせてください」



「ねえ、一人って寂しくない?」



「ド「ねえ、一人って寂しくない?」



ずいっと寄ってくる端正な顔。


近づいたことによって先輩の香りがする。


バニラみたいな甘い香り。



そして気づく。



「先輩近いです」



「ねえ、一人って寂しくない?」



・・・もうこれで分かっただろう。


この人、かなりしつこいのだ。


< 7 / 60 >

この作品をシェア

pagetop