あなたの一番大切な人(1)
国王は用を済ませたあと、むしゃくしゃする気持ちを抑えきれずに、そのまま乱闘が続いている入口に向かった。
ずかずかと大股で歩み寄り、段ボールを投げようとする男を後ろからひっつかみ、相手の顔面めがけて拳を繰り出した。
勢いよく繰り出された拳は、相手の左頬を命中し大きな音を立て、段ボールが綺麗な放物線を描いて落ちた。
彼は拳を優しくさすりながら、床に横たわる男の姿を舐めるように見つめた。
-さあて、やろうか…-
とっさのことで、殴られた男はわけがわからなかったようだが、周囲の人間が新たな挑戦者の登場に歓喜の声を上げた。
国王は歓声にこたえるかのように両手の拳を振り上げ、大きな声で吠えた。
地面に転がり、口から軽く血を流した男は起き上がり、つばを吐き捨てた。
そして自分の顔を殴った男を認識すると反撃のためにとびかかってきた。
しかし、彼はそれをひらりとよけると、酔った男の右足を払った。
殴られた男は再び地面に崩れ、しばらく茫然と床を見つめていた。
その素早さに再び周囲は歓喜の声をあげた。中には拍手するものもいた。
段ボールの投げ合いをしていた片割れは、振り上げていた段ボールをゆっくりおろし、国王の顔をまじまじと見つめた。
「なんだ、俺の顔に何かついてるか?」
ゆっくり自分の右頬をさすり、艶と血色のよい肌を確かめた。
ずかずかと大股で歩み寄り、段ボールを投げようとする男を後ろからひっつかみ、相手の顔面めがけて拳を繰り出した。
勢いよく繰り出された拳は、相手の左頬を命中し大きな音を立て、段ボールが綺麗な放物線を描いて落ちた。
彼は拳を優しくさすりながら、床に横たわる男の姿を舐めるように見つめた。
-さあて、やろうか…-
とっさのことで、殴られた男はわけがわからなかったようだが、周囲の人間が新たな挑戦者の登場に歓喜の声を上げた。
国王は歓声にこたえるかのように両手の拳を振り上げ、大きな声で吠えた。
地面に転がり、口から軽く血を流した男は起き上がり、つばを吐き捨てた。
そして自分の顔を殴った男を認識すると反撃のためにとびかかってきた。
しかし、彼はそれをひらりとよけると、酔った男の右足を払った。
殴られた男は再び地面に崩れ、しばらく茫然と床を見つめていた。
その素早さに再び周囲は歓喜の声をあげた。中には拍手するものもいた。
段ボールの投げ合いをしていた片割れは、振り上げていた段ボールをゆっくりおろし、国王の顔をまじまじと見つめた。
「なんだ、俺の顔に何かついてるか?」
ゆっくり自分の右頬をさすり、艶と血色のよい肌を確かめた。